彩−aya−2
ユウキのいかにもな“黙って乗れ”という表情に、素直に後ろに跨り、遠慮勝ちにユウキのお腹に手を回した。
ユウキは良い子だ。
素直で我慢強い子だ。
あたしに対して怒っていたのも関わらず、暴走なんてせずにいつものペースでコンビニまで送ってくれた。
勿論、コンビニまで2人共無言で、いつもの道なのに凄く長く感じた。
家に帰り、お風呂から上がって部屋に戻った時に聞こえたのは、あたしにとって非必需品のケータイの着信音だった。
ケータイが鳴るなんて珍しくて、これが何の音か思い出すのに時間がかかった。
それでも鳴り止まないケータイを開くと、ディスプレイには、“ショウゴ”と点滅してた。
それを確認して急いで出た。
『アヤちゃん?』
第一発声はあたしを確認する声だった。