彩−aya−2
そして、ニッと口角を上げ、物凄いスピードで過ぎて行った。
それに吊られる様に、カズマも不敵な笑みを浮かべ、通り過ぎて行く。
「アヤちゃん、窓閉めてよ!?」
心配そうにあたしを見るショウゴはやっぱりいつものままで、思わず頷くと安堵に満ちた笑顔で、「じゃあ後で」そう言い、エンジン音を吹かせ、去って行った。
―――残るは一人。
何十人もの人に慕われ、何百人もの人に狙われる男。
異様なオーラーを放ち、整ったその顔には誰もが振り向く。
そいつは言った。
『お前は仲間だ』
それが何を意味してるのか分からない。
分からないけど、信じたい。
一人エンジン音を響かせ、妖麗に口角を上げた男は、人一倍速くあたしの横を通り過ぎて行った。
それと同時に、BMWも走り出した。