彩−aya−2



マジ!?

もう、……終わりだ。



吐きそうなあたしは、外に視線を移す事さえ不可能で、……もう死にたい。


前部座席にズルッと滑り、横になり目を閉じた。


……もう逃げ切れない。


終わりだ。



瞬間、脳裏に何故かハヤトの顔が浮かんだ。


あの、口角を上げた顔。


『お前は仲間だ』って言ってくれた時の顔。



………ハヤト。



その時だった。

あたしの上に何かが被せられた。


でもそれは目を開けなくても分かってて……でも開けた。


だってこの匂いは、ここに居る筈のない人の匂いで、


「……てめぇ、取れ」


………本物のハヤト様があたしを睨んでた。




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