ヘタレの恋
念願の県内一の進学校、西山学園に合格したオレは

入学式のその日、まっさらな濃紺のブレザーに身を包み、少し早めに家を出た。

ちょっと癖のある茶髪に光の加減で茶色く見える瞳。

１７５センチ６５kg平均的な身長と体重。

容姿も平均的で取り立てて美男子ではない。

だから、特にモテた覚えも無い。

しかし、そんなオレでも高校のブレザーを着ると学ランとは違って大人になったように見えるから不思議だ。


日差しが暖かく気持ちのいい朝。

そんなオレの視界に、一人のお婆さんをとらえた。

大きな荷物を抱えて、ヨロヨロと横断歩道を歩いている。

なんとなく気になるので声をかけようと走りよった。

「お婆さん。荷物持ちましょうか？」

オレが声をかける直前同じように声をかけた人物がいた。

「「あ。」」

長いサラサラの黒髪に意思の強そうな黒い瞳。

小さく紅い唇にキメの細かい白い肌。

びっくりするぐらい綺麗な少女が目の前にいた。





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表紙・目次

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