ヘタレの恋
海斗とは保育園の時からほとんど同じクラスだったので、すでに付き合いは14年を超える。

オレの性格はお見通しだ。

「どうせ相手にされないだろうからって、仲間に入るのを避けてるだろ。」

ズバリ本音を突いてくる。

「・・・。」

「図星か。お前なあ、可愛いモノは可愛い。好きなモノは好きとちゃんと口に出さないとまた後悔するぞ。」

オレの少ない恋愛遍歴のすべてを知る海斗はそう言った。

海斗の言うことは解るが彼女はオレにとっては完全に高嶺の花だ。

二宮華菜がオレの彼女になる確率は限りなく0に近い。


成就しない恋はしない。


そうこの前の失恋で心に決めた。

窓の外を見ると二宮華菜と偶然目が合ったような気がした。

柔らかな笑顔で手を振るのが見える。


「「「可愛い!!」」」


そばにいた男子が手を振りかえす。


そんな笑顔は、他の男に見せないで欲しい。

オレの運命の相手ではないなら、他の男の運命の相手にならないで欲しい。


好きだと告白なんて出来ない臆病なオレだから。








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