I'll give…
やっとこさで言い合いは幕を閉じ、
私は彼にリビングまで案内された。
隅々まで掃除され、ところどころにお母さんの趣味がうかがえる。
ソファに座らされ、
お母さんがキッチンから戻ってくるのを待った。
「はーい、お待たせー。あ、紅茶大丈夫だった?」
「あ、はい。好きです。」
「そう、よかった。マドレーヌもあるから、食べてね。」
そう言ってふわりと笑ったお母さんは、
さっきの彼の笑顔を連想させた。
やっぱり親子なんだなぁ…。
「はい、いただきます。」
私はそう言って、
紅茶とマドレーヌをおいしくいただいた。
おいしい…。
「…って、おい!!俺らはのんびりお茶しに学校サボったわけじゃねんだよ!」
私が一息ついたところで彼の鋭いツッコミが入る。
彼が言うことももっともだが…
「あんたがお茶用意しろって言ったんじゃない!」
お母さんの言い分もごもっとも。
私もおいしくいただいてるし、
いいっちゃあいいんだけど。
大体、何しに来たのかわかんないし…。
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