I'll give…

「じゃあ、一緒に暮らすにあたって、あなた名前は？」
お母さんにそう聞かれハッとした。
そうだ。自己紹介も何もしてなかった。
「えっと、乾小町です…。」
「小町ちゃんね。千草と同じクラスなの？」
「はい…。」
「ふーん…そう。」
お母さんは私を見て、
なんだか妖しい笑みを浮かべた。
「おい、母さん。変に探んなよ！」
「それはどうかなー？」
「か、母さんっ！！」
なんか、お母さん、楽しそうだな…。
この二人のやりとりを見てると、
自然と笑みがこぼれた。
すると、急に彼が私を見て固まった。
ま、また…？
「乾…お前、やっと笑ったな。」
彼はそう言って嬉しそうに笑った。