I'll give…

「おっさん、そいつ離せよ。」
そばで聞こえた声。
この声、千草…？
声がした方を見ると、
そこには今にも殴りかかって来そうな表情の千草がいた。
「あ？お前、誰だよ？」
「は？俺？こいつの彼氏。」
かっ…彼氏？！
何言ってるの、千草っ！
「嘘言ってんじゃねーよ！」
そ、そうだよ。
嘘は……
「嘘じゃねっつの。いいから離れろ。早くしねーとサツ呼ぶぞ。」
彼はポケットからケータイを取り出して男に見せつけた。
男はひるんで私から離れ、
走り去って行った。
よ、よかった…。
ホッとした私は地面に座り込んでしまった。