I'll give…
こんなのでは家に入れないと思って
玄関で突っ立ったままでいると、
碧さんが走ってやって来た。
「音がしたと思ったら小町ちゃんじゃない!早く入りなさい……って、どうしたの?!どこか痛いの?!」
碧さんは私の涙を見て顔を青くした。
優しく背中をさすって私を心配してくれる。
ほんとの『お母さん』みたい…。
「あったかい紅茶淹れてあげるから、中入りましょ。ね?」
私は黙って頷き、靴を脱いでリビングまで行った。
碧さんは私がソファに座ったのを確認すると、慌ただしくキッチンに入った。
5分くらいすると、
碧さんがあたたかい紅茶を2つお盆に乗せてこちらに来た。
「はい、できたわよ。熱いから気をつけてね。」
私の両手に乗せられた紅茶は、
あったかくて体にしみた。
不思議なことに、
飲んでいると気持ちが落ち着いてきた。
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