I'll give…
「今、いいか?」
扉の向こうで彼の声が聞こえる。
「うん。いいよ。」
私がそう告げると、
彼は静かに扉を開けて中に入ってきた。
「小町。母さんと仲良くなったんだな。」
彼はやわらかな笑顔で言った。
その笑顔が私の胸をぎゅうっと締め付ける。
今までこんなのなかった。
千草が教えてくれたんだよ。
私はゆっくりと彼に歩み寄って、
彼の腰に両腕をまわした。
彼がビクッとなったのがわかったけど、
すぐに彼も私を抱きしめてくれた。
「私、ここに来てよかった。愛も恋も、千草が教えてくれた。私、今幸せだよ。ありがとう……」
私は彼の胸に顔を埋めながら泣いた。
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