空色の約束
幼なじみ
「約束だからな!!」
私の大好きな少年が、笑顔で私に言っている。
「うん、絶対に守るよ」
私は、笑顔で答えた。何度繰り返しながら
「約束だからね」と...
「彩美起きろ〜!!遅刻するぞ」
目を開けると、目の前に誰か居るのに驚き
「キャー!」
私、柳瀬彩美はとっさに、叫び声をあげてしまった。「キャー!って、悲鳴あげてる場合じゃないぞ。彩美はやく学校の用意しろよな」
悲鳴が、うるさかったのか耳に手をあてて怒っているのは幼稚園からの幼なじみの藤野健吾。
「なんで、けんちゃんが私の部屋に居るのよ?」
私は、昔から健吾の事をけんちゃんと呼んでいる。
「彩美が、待ち合わせの時間になっても来ないからだろ。それといい加減に、けんちゃんって呼び方やめてくれよ」
どうやら、けんちゃんはこの呼び方が気に入らないようだ。
「それより、はやく用意してくれないか?俺まで、遅刻するんだけど...」
そう、言われて時間を見ると時計は8時前。
「ヤバい!遅刻する。なんで、起こしてくれないのよ!!」
私が、怒りながら用意をすると
「いや、起こしたから。起きなかったの彩美だからな」
呆れた顔で、けんちゃんは言う。
「だから、もっとはやくに起こしてよ!着替えるから外で待ってて」
私は、けんちゃんの背中を押しながら部屋の外に出した。
「そんな、追い出さなくても小さい頃に、いっしょに風呂入った仲だろ〜」
けんちゃんの声が、ドアの向こうから聞こえた。
「いつの話よ!」
私は、キレながらドアの向こうのけんちゃんに返事をした。
私は、着替えながら昔の事を思い出した。私が、けんちゃんを好きになった理由を...
そんなことを、知らないけんちゃんは、きっと、私のドジに呆れながらドアの向こうで私を待っている。