AZZURRO
せっかく自由になると思ったのに…

雪乃が
至極落ち込んだように
フルーツを食べ始める

その様子を見ていたクリスが
雪乃の頭にポンと手を置いた


「不自由をかけてすまない。

だが、雪乃を守るために皆必死なのだ。
その気持ちだけは
汲んでやってほしい。」

なだめる様な
柔らかい声が響く


みんなが…私のために必死なの…?

なんで?


クリス様の命令だから?


「私の命令だからじゃないよ?」


「え?」


急に頭の中の考えに返事が返ってきて
雪乃は顔を上げた


「確かに初めは私が命じた。
だが、ケシャは自ら進んで
弟たちとの時間を削ってまでユキノとの時間を作っているし

ポールやゴルチェだって
自分の仕事を夜に残してまで
ユキノの警護にあたっている。」

クリスの言葉に示されるように
雪乃は順番にみんなの顔を見る


その顔は
どれも
少し気恥ずかしそうで
それでも
温かい笑顔があった
< 100 / 319 >

この作品をシェア

pagetop