AZZURRO
「…どうして…?
私なんかのために…。」


「どうして…か…。
ならば本人に聞いてみよう。


…ケシャ、答えよ。」



「は、はい…。」

突然の事に
戸惑いつつも
ケシャはゆっくり言葉を紡いだ


「…ユキノ様には
命を救っていただいた御恩はもちろん
数々の温情を賜りました。

それだけではなく

恐れ多い事ながら

私を…妹の様だと言ってくださいました。
そして
みすぼらしく汚れた弟たちを
大好きだ…と
抱きしめてくださいました。」


ケシャの瞼から大粒の涙があふれた
そして
雪乃の胸がグンッ…と熱くこみ上げる


「そんな
そんな…ユキノ様は私にとって恩人でもあり
かけがえのない大切なお方…

ですから
この命に代えても…お守りしたいと
及ばずながら…傍に仕えさせていただいております。」


それ以上は言葉にならないと
言った様子で
ケシャは顔を伏せ涙をぬぐう


「…もう良い。
ありがとうケシャ。」

クリスの言葉にも
ケシャは頭を下げるだけだった
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