AZZURRO
しかし

どんなにどんなに抑えても
ケシャの腹部から血は溢れ

雪乃の桜色のドレスも赤黒く染まっていた

いやだ…


嫌だ…

ケシャ…嫌だ…


「貴様っ!!」

雪乃とケシャの光景を見て
クリスがギリッと奥歯をかみしめた

だが
ブレイクは悪びれるそぶりもなく
決断を迫る

「…邪魔が入ったが…
さぁ…答えを聞こうか?

アルヴェス帝国第二皇子クリス・ムラド。
半分しか血のつながらない弟と大切な寵妃…

どちらを取る?」


「くっ…。」

クリスには決められない決断だった

帝国皇子として考えるなら
皇族と身分の無い寵妃…
結論は簡単だ

いつもなら
何のためらいもなくそうしていただろう


しかし
雪乃を手放す事が

どうしても
決断できなかった…
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