AZZURRO
あの

女と赤ん坊からしたら

私が悪なんだ…



雪乃は
その姿をただ見つめていた



そして
完全に姿が見えなくなったところで


ついに
たまっていた涙が
瞳から溢れた


「うっ…く…。」


視界がぼやけて何も見えなくなった


でも
そんなのどうでもよかった


ただただ
哀しくて

虚しくて


自分が情けなくて


雪乃は
夕闇に染まった展望台で

声をあげて泣いた


< 13 / 319 >

この作品をシェア

pagetop