AZZURRO
有無を言わせぬ眼力に
雪乃はあわててショールを頭からかぶった


次の瞬間 

辺りは熱気に包まれる


そして
ジリジリと肌を焦がすように
突き刺さる紫外線


舞い上がる
灼熱の空気



「これが
そんな風に厚着をさせる理由だ。」


宮殿のバルコニーに連れてこられて雪乃は
そこから見える景色に言葉を失った


高台にある宮殿から
大小さまざまの大きさの白い真四角の建物が広がり


そのさらに向こうは
地平線まで一面
大量の砂に覆われていた


太陽の光を浴びて焼けた砂が
乾いた風に舞い上がる



吸い込んだ空気の熱さに
一気に喉が渇いた
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