AZZURRO

不安

雪乃を部屋まで送った後
ブレイクは執務室に来ていた


たまった書類に目を通していく


そのほとんどが
民からの嘆願書だった


「…ずいぶんと貯まりましたね。」

ハビエルが声をかけた


「ああ…。」


「一刻も早く…改善しなければ
やがては国を滅ぼしかねません…。」


「わかっている。
…そのためにも…。」


ブレイクは口惜しそうにこぶしを握りしめた

畳まれていた漆黒の翼が微かに震える


「殿下、気を静めてください。
ここでそのように気を荒げては
大惨事になってしまいます。」

慌てた様子で
ハビエルは部屋の空気を換気した


「…たまには全てを灰にして
緑豊かな世界へ行ってみたいものだがな…。」


「また…御冗談を…。」


フンッと顔を背けたブレイクの瞳は
どこか遠くを見つめていた
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