AZZURRO
パルトは
意味がわからない様で雪乃の顔を
不安げに覗いている


「あの…私、何か気に障る様な事を申しましたでしょうか?」


「申したって…
あの、私、アルヴェス帝国からさらわれて来たんです。
アルヴェス帝国のクリス皇子の…その…
側室だったんですよ?」


自分がクリスの側室という言葉を発すると
とたんに恥ずかしくなって
言葉が詰まった


「はい。
伺っております。
しかし、側室が敵国の王にさらわれるのはよくある話。

今回もそんな大事にはならないと思いますが?」


「大事にならない?
だって、自分の側室がさらわれたら
取り返しに来るんじゃないですか?」


「なぜわざわざ取り返すんですか?
そんな手間をかけなくても
変わりの側室なんていくらでもいるじゃないですか。

居なくなれば
変わりを見つければいいだけの事。

王の寵愛なんて一時の幻。
覚めればあとは堕ちるだけです。」



足元から全てが崩れていく様な感覚が
雪乃を襲った
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