AZZURRO
『居なくなれば変わりを見つければいい』


『寵愛は一時の幻』



パルトの言葉が
重い鉛となって雪乃の心にたまっていく


『必ず助ける』

大丈夫

クリス様はきっと助けに来てくれる


揺らぎそうな信頼を必死で支え
クリスの言葉を強く握りしめた


「で、でも
それは一般的な話で…クリス様は違う。」


「そうでしょうか?
確かにアルヴェス帝国の皇子は
慈愛に満ちてとても優れた方だと聞きますが
だからこそ

自分の寵妃一人のために
多くの兵や民を戦で犠牲にして
姫君を取り戻す様な事はしないと思いますが?」


パルトの言葉は
恐ろしいほ的を得ていた


『無益な戦はしない。』

クリスの言葉が雪乃の脳裏によみがえる


私を助けようとすれば
戦になる…?


戦になれば
多くの兵や民が犠牲になるの?

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