AZZURRO







だが
今度は風の加護は起こらなかった


なんで?!

どうして?


慌てふためく雪乃の耳に
楽しげな声が降ってくる

「俺は火の民の末裔。
風の民とは同等の力がある。

風の加護など
知ってしまえば取り払うのは簡単な事。」


そうだった!
ブレイクは火の民…
クリス様と同じ魔力をもつんだ…


その瞬間
雪乃からサーっと血の気が引いていく


どうしよう…

逃げなきゃ…


しかし
雪乃を捕えた腕は強くなり
ブレイクの吐息が耳にかかった



「…風の力など届かぬ所に閉じ込めて
骨の髄まで快楽の熱に溺れてみるか…?」


骨に響く妖艶な声
一気に鳥肌が立つ

「元は俺が先に見つけた娘。

本当に俺の側室にしてしまおうか…。」


酒がまわったのか
一瞬
雪乃の足元がふらついた
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