AZZURRO
「ブレイクは
誰よりも民を思って…国を思う。

それに
ケシャの件だって急所は外してくれたし
私を気遣ってくれた。

それが
あなたの優しさだよ。

そして
ハビエルさんやパルトだってブレイクが好きだから
大切だから仕えてくれてるんじゃないかな?


あなたは家臣からも民からも必要とされてるよ。
民を貧困から救えるのはあなただけ…。

大丈夫。

一人じゃないから。」




『大丈夫。一人じゃない。』

それは
アレクサ帝国に連れ去られてからずっと
雪乃が自分自身に言い聞かせていた言葉だった


クリス様が助けに来てくれる

風の加護がある

大丈夫
一人じゃない

泣きたい夜を必死でこらえて過ごした


だから雪乃は
ブレイクにもこの言葉を上げたかった


孤高の皇太子
莫大なものを一人で背負って
自分を見失いかけている今

どうか
負けないでほしい

どうか
伝わってほしい

あなたを想う家臣の気持ち

あなたを慕う民の気持ち


「…大丈夫。」

雪乃がそう囁いた時
雪乃は自分の肩が濡れているのがわかった


そして
腕が回らない位大きな背中が
震えているのがわかった
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