AZZURRO
朝靄の中を
小さな船がゆったりと流れていく



アレクサ帝国首都ミラは
異様なまでの静けさに満ちていた



ブレイクとともに朝食を摂っていた
雪乃の元とに伝令が駆け込んだのは
朝日が昇ったころだった


「申し上げます!
南の街に集まった民が暴徒と化し
宮殿に向けて進行しました!」


「始まったか…。」


ブレイクは少しだけ口角を上げると
手に持ったワインを飲みほした

「申し上げます!」

すると
今度は別の伝令が走り込んでくる

「西と東の街にも数百人規模の民を確認!!
宮殿に向けて進行しています!!」


「なに!?」

驚いた様子のブレイクに
ハビエルが眉をひそめる

「…三カ所でクーデターが起こるというのは予想外です。

しかも全てが王宮に向かっているとしたら
莫大な数になってしまい…
殿下の私兵隊だけでは収まりきれません。

早々に
帝国軍を動かさなくては…。」


ハビエルの言葉に
ブレイクや側近たちは立ち上がった


「皆王宮へ!
陛下に事態を説明しクーデターを鎮圧する。
…わかっていると思うがギリギリまで手は出すな。
私が合図するまでそれなりにして待機をしておけ。」


「「はっ!!」」

側近や兵士たちが去っていくと
広いパティオには雪乃とブレイクだけが残された
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