AZZURRO
「アイツの元に落ちたから
あの娘は変わったのか…

俺の元に落ちていたら…。」


足元に落とされた
雪乃のマントを手に取り

小さくなる帆船を見つめながら零したブレイクの言葉は
吹き抜ける潮風にそっと消えていった


「殿下!!
民衆が王宮前に集まりました!」


ハビエルの声に
ブレイクはくるっと踵を返す


そして
手に持っていたマントを吹き抜ける風に投げ捨てた


マントは
何度も翻り


やがて

広大なエイル川に落ち


ゆっくりと

沈んでいった…
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