AZZURRO
気のせいかな…?


首をかしげる雪乃に
ジャンは構う事なく言葉を続ける


「これからは今まで以上に
御身を大切になさいますよう重ねて
お願い申しあげます。」


「はい。」

ピシャリと言われた言葉に雪乃は
背筋を正した



ジャンは
雪乃がクリスにとってもはや
大きな存在…必要不可欠な存在に
なっている事に気が付いていた


クリスは血筋正しき天地を統べる風の民
 
現皇太子が皇帝に即位されたから
次はクリスが立太子をし

ゆくゆくは皇帝の地位に就くであろう彼の為に
幼少のころから今まで全身全霊で仕えてきた

だからこそ
雪乃がクリスに与えている影響の大きさを
懸念する場面も多かった



このままあの娘がこの世界にとどまり
側室として傍に置いていいものか…

クリス様が皇帝に即位すれば
必然的に皇后…正妃を迎えなくてはならない


家柄や権力はもちろんだが
一番大切なのは

クリス様の伴侶として
帝国の母としての器量と気質…
そして
権力や富では無くクリス様への忠誠…


それら全てがクリス様の正妃には求められる


はたして

この娘に…それらはあるのか…?
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