AZZURRO

雪乃は
その場に泣き崩れた


『良く頑張った。
もう、頑張らなくていい。』

クリスの言葉が
雪乃の胸を軽くする


今まで抱いてきた
母への憎しみや恐怖は


全て
母に愛してもらいたかった
認めてもらいたかった気持ちの

裏返し…


お母さん
あなたに認めてもらいたくて

愛されたくて
今まで頑張ってきたけど


私には
もう限界だったよ


もう…
辞めてもいい？



その時
優しいぬくもりが
雪乃の頭をなでた


見上げた先には
何もない


でも

雪乃の眼にははっきり
優しく微笑み
雪乃の問いに答えるかのように
彼女を見下ろす女神の姿があった


「…女神様…。」


小さく囁くと

どこからともなく
そよ風が吹いて
雪乃の涙でぬれた頬をすり抜けた