AZZURRO
「何事だ?」


その時
雪乃の後ろから低いバリトンの声が響いて

その場にいた全員が跪く


雪乃もそれに倣おうとしたが
クリスによって止められた

ジャンが
遠慮がちに歩み出る


「実は
先ほど、ユキノ様宛てに手紙が届きまして。」


「ユキノに手紙?
皇后陛下からか?」


「いえ。
…アメリア姫からにございます。」


「アメリア?」

「アメリア様?!」



雪乃とクリスの声が被った

ジャンは「御意」と頷くと
手元にあった手紙を差し出す

クリスは
ウェスタン家の紋章を確認すると
封を切った


文字が読めない雪乃は
クリスが代読してくれるものだと思い
クリスの言葉を待つが
一向に何も降りてこない


しまいには
クリスは手紙をジャンに突き返した
< 235 / 319 >

この作品をシェア

pagetop