AZZURRO
一方

ジャンとポール、ゴルチェの三人は

城内にあるジャンの私室に集まっていた


「…何かわかったか?」


ジャンの言葉にポールが口を開く


「は。祝賀会が始まってから
城内を出たのは全て商人や下働きの者たちで
主だった貴族などは確認されていません。」


「しかし、この警備も厳しく
街も人で溢れている時に誘拐など…。」

呆れたようにゴルチェが零した


「確かに、人目も多いし
何よりも手間がかかる。
普通の賊では城内にはいることすら不可能だ。

やはり…貴族の手引きがあるか。」


ジャンの言葉に
他の2人もゆっくりと頷いた


「もし、私が賊だとしたら
ユキノ様をすぐに殺すような真似はしません。

とりあえずは、城内から抜け出し
人目を避け、カイルの何処かに一旦身をひそめ
夜明けとともにカイルを抜けます。」


「確かに。
ポールの言うとおり
賊はまだ近くに潜伏している可能性がある。」

「しかし
近くといいますと、すぐ下の皇族居住区か
その下の貴族の居住区になりますが…?」

厄介なのはそこだった
もし
皇族の居住区に潜伏された場合
同じ皇族であるクリスか皇后、皇帝の
口添えがなければ宮を調べることはできない


しかし
そこまでにすると
事が大事になってしまい
ユキノの命を危険にさらす可能性がある


貴族の屋敷の場合は
クリスの名前だけで調べることはできるが
それ相当の理由とが無ければ困難な話だ

もちろん
ユキノの事を話すつもりはない


三人が考え込んだ時

サッと
ジャンの後ろにどこからともなく
黒装束の男が現れ何やらジャンに耳打ちすると
また煙のようにそこから消えた

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