AZZURRO
しかし

ケシャは震える手を
必死で動かし
地面に指で文字を書き始める


ミミズの走ったようなつたない文字だが
しっかりと読み取れた


「兵士」

「男二人」

「顔に傷」

最後にケシャは地面を引っ掻く
ようなそぶりを見せる


「賊は兵士を装った男二人。
顔にケシャが付けた傷があるのか?」


ポールの言葉にケシャはしっかりと頷く

男二人に必死に抵抗したのだろう
ケシャの衣服破け
頬は赤くはれ上がり
いたるところに傷が見えた


「よくやった、ケシャ。

お前の努力は無駄にはしない。」


ジャンは素早く立ち上がる

「顔に傷のある兵士二人組を探すんだ。
きっと大きな荷物を抱えているはず。

ポールとジャンは場外の兵士に確認し
皇族の居住区と貴族屋敷周辺を捜索。

残りの者は城内を詮索。
その後、カイル市内の潜伏できそうな
場所を徹底的に探せ。」


「「はっ。」」


兵士たちが去っていくのを見届けると
ケシャを医務室に預け

ジャンはクリスの元へ向かった
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