AZZURRO
シャンの報告を聞いて
クリスはケシャを案じた

ユキノより若く幼い娘…

本当によく仕えてくれている
無事でよかった


そして
すぐさま気持ちを切り替える


「兵士を装うとは…。
ずいぶん手の込んだ真似をするな。」

兵士の衣装はアルヴェス帝国の文様と
特殊な生地と色づかいで
決められた針子が特別な縫い方で仕立てるので
複製は不可能

しかも
他人に貸すなどは絶対のタブー


誇り高き兵士たちは
それを守っているはず…


「盗まれたものか…あるいは…。」


「上からの圧力で強制的に
貸し出されたか…ですね。」


「ここ数日に体調不良や事情で
休暇を申し出た兵士を探ってくれ。」

「は。
ユキノ様の詮索ですが…」


「わかっている。
皇族のみなには、私の宮に盗賊が入り
このあたりに潜伏の危険があるということで
話は通した。

怪しい物があればすぐに突き出してくるだろう。」


「恐れ入ります。
それと
今一つ…お願いが…。」


含みのあるジャンの表情に
クリスは少し眉を寄せた
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