AZZURRO
逃げなきゃ…


犯人が戻ってくる前に

何としてもここを抜け出さないと


この世界では
一部の民族で
儀式用の生贄用の人身売買や
人食、皮剥ぎが行われている

私の様な日本人の黄色人種は珍しい…
最悪の事態を想像して
鳥肌が立った


ガチャッ…


「おっ、目が覚めたのか?」

「案外早かったな…。」

 
入ってきたのは二人組の男

一人は小柄でずるがしこそうな
出っ歯のネズミ顔


もう一人は
筋骨隆々のボディーガードみたいな
強面で腰には剣が揺れている


雪乃の緊張は急に高まった


男たちは手に持っていた
酒や食料を床に広げると
ドサッと座り込む


「今回の仕事はなんだか簡単だったな。」

「バカ。
協力者がいたから成功したようなもんだろ?
でなきゃ、城になんか入れねーよ。」


「そうだな。
ああ、でもよ。もう一人の女は城においてきたけど
大丈夫だっったかな?」


協力者?!


もう一人の女?

もしかしてケシャ?!

雪乃は興味が無いふりをして
男たちの話に耳を傾ける
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