AZZURRO
「最近
ユキノに手紙を送ってきているそうだが
どういうつもりだ?」


「…あれは…
ユキノ様とは歳も近いし
お友達になれたらと思いまして…。」



「貴族の妾や愛人と違い
私の側室ともなれば
簡単に外出することはできない。

その姫に
なぜ「会いたい」などと手紙を書いた?
教養深いといわれた
宰相の娘のすることとは思えんが。」



「それはっ…。」


言葉を詰まらせたアメリアに
クリスは容赦なく責め続ける



「そして
先の歌劇観覧の際には
ユキノを末席に座らせるように画策し
お前は皇后に次ぐ第二の上座に座ったそうだが?

亡国の姫だからと言っても
皇子ともなれば側室は上座に座るのが通例。

それを知らなかったとは言わせぬぞ?」


いつもの穏やかなクリスからは
想像もつかないような鋭い言葉と
冷たい視線にアメリアは視線を落とした


「だって…
だって、許せなかったんです!

私はずっとクリス様をお慕いしてきました。
なのに、婚姻は破棄され
突然、側室を作られた。

しかも、どんな美姫かと思えば
教養も知性もない異国の娘!

ただ、クリス様に甘えている
だけではありませんか!!

そんな娘に私が負けるのがどうしても許せなかった。
クリス様の寵愛を一身に受けているあの娘が…」


アメリアの美しい容姿は
嫉妬と涙でもはや面影を残してはいなかった
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