AZZURRO
「だから…
ユキノを賊に攫わせたのか?」

降ってきたのは
低く突き刺さるような声だった


「そ…それは…。」


カタカタとアメリアの体が震えだす


「今日お前が
皇后陛下に献上した絹織物の箱。
アレは上げ底になっているのが確認された。

そして
からになった箱の中には
男の物と思われる衣服が二着残っていた。

この事について説明があるならば聞こう?」


一気にアメリアの顔が青ざめた
そして
数歩後ろに下がる


「わ、わたくしは…ただ…」


「ただ?」


「お、男たちが…
自分たちの言う通りにすれば
あの娘が居なくなる…から…

だから…」



「…だから
兵士の制服を与え
城に侵入させたのか?」



「も、申し訳ありません!!」

アメリアはその場に両ひざをついてひれ伏した
全身は震え、磨かれた床に
涙が幾滴も落ちる


「ユキノの居場所はわかるか?」


「いえ…男とはあれ以来会っておりません。

…私…本当に…。」


「もう良い。
後の話は他の者が聞こう。」


現れた兵士2人がアメリアの両脇をを抱えて
引きずるように立ち上がらせる
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