AZZURRO
「お前達には
聞くべき事がたくさんある。

それに、そう簡単にやすやすと
殺すほど…私は優しくないぞ?」


冷たく言い放たれた
ジャンの言葉に雪乃は恐怖を感じた


この世界は…
こういう所…

日本では考えられないような
自分の価値観では
計り知れないような事が日常なんだ


いつの間にか
それに馴れてしまっている自分に
雪乃は少し驚いた半面

少し…不安にもなった…



ただその光景を見守っていた
雪乃の前に
マリモがやってきて嬉しそうに
頭を雪乃の腹部や首元にこすりつける


「マリモ、ありがとう。」


雪乃はマリモを何度も撫でつけた


「ユキノ様、ご無事で何よりでした。
お怪我はありませんか?」


そしてジャンを筆頭に
ポール、ゴルチェが雪乃の前に頭を垂れる


「はい。
なんとか…。

ご心配おかけしました。」


「いえ。こちらこそ
私どもが警戒していたのにもかかわらず
このような結果になってしまい
お詫びのしようもありません。

誠に申し訳ありませんでした。」


珍しく深々と頭を下げるジャンに
雪乃は慌てて制すると
話題を変えた


「あの、ケシャは?
ケシャは無事ですか?」


「はい。
先ほど保護され今は療養しております。」

返答に雪乃は
やっと肩の力を抜いた
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