AZZURRO
雪乃の言葉に
一瞬クリスはこわばった表情を見せた


いつもとは違う
クリスの様子に雪乃は不安を覚える


沈黙を破ったのは
ジャンだった


「恐らく
黒幕は地下神殿と
何らかの関係があるものでしょう。」


「地下神殿は
たくさんの神官がいるんですか?」


「いや…地下神殿は女神を祀る
高貴な場所。

仕える神官は
有能で高位の神官一人しかいない。」

雪乃の問いに答えたクリスは
どこか悲しげに
手のひらの水晶を見つめていた


「そして
その…神官は私の義姉だ。」


クリスから
かみしめるように溢れた言葉は
雪乃に衝撃を与えた


「…え?!」


義姉?!


クリス様は
三人兄弟で
上にはお兄様しかいないと言っていた…

ってことは
カヴァリ様みたいに側室の子?


ぐるぐると
考えをめぐらす雪乃の傍で

その事実を知っていた
ジャンは表情を曇らせた
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