AZZURRO
その姿を見て
スバルは目を細める


この世界には無い
特別な破調を持つ娘

弱く消えそうな
その心は


すでに
大きく成長し
ここにいる誰よりも力を持つ


クリス様の加護ではなく

四人の女神に愛され
風の女神の加護に包まれた
心優しき娘よ


その意志の強さを見せてみよ…



「…なんだその眼は?」


雪乃はゆっくりとアマリエスに視線を合わせる

今度は
身震いも恐怖も何も感じなかった

ただその瞳を見据えて間合いを詰める


「な、なんだ?!

く、来るな!


ええい
忌々しい娘…

ここまで来てしまっては
術は終り…
お前の存在価値も亡くなった!!

喜べ
最後の慈悲だ!

元の世界に送り返してやろう!!」



その瞬間
アマリエスは呪文を唱え始め
雪乃の体がゆっくりと浮かび上がる


「な、なに?!」

そして
その体を竜巻が包み込んだ


苦しい…

私…このままこの世界から消えちゃうの?

元の世界に帰れるの?





…それで…いいの…?
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