AZZURRO
クリスは竜巻に隠れる雪乃に
思わず手を伸ばしそうになった


だが

グッとその衝動をこらえる


ユキノが決めなくてはいけない


元の世界に帰るのか…
こちらに残るのか…

私が…決めれるはずがない…


寸での所で
理性を保つクリス


そんな主君の気持ちを知ってか
ジャンは
何も言えずその背中を見つめていた



「ああぁぁっぁぁぁ……!!」

体が消えていく不思議な感覚
足元からどこかに飛ばされていくような気がする…


下半身まで消えかかった雪乃

その時

雪乃は竜巻の外に手を伸ばした


「ク…リス…さ…ま…。」


考えたわけでは無かった

頭より先に

心より先に


雪乃の体が動いた



クリスは
竜巻の中から消えかかった手が

囁くような声が


自分を呼ぶのをしっかりと聞こえた


「ユキノっ!!!」


その瞬間
その消えかかった手を
必死につかみ取る

そして
竜巻の外に引きずり出そうと
手を引いた


だが
雪乃を引く竜巻の力はすさまじく
クリスは苦戦を強いられる


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