AZZURRO
「ゼムスと四人の女神の力を借りて
作った結界です…。

あなたの魔力でも抜け出すことは
不可能でしょう。」



「くっ…。」


アマリエスはその場に座り込んだ
そして
今まで若々しかったその姿が
歳を重ねるように
皺が刻まれ
髪は抜け落ち
鼻は鉤鼻になり
あっという間に醜い老婆になった


「これがあなたの本当の姿です。
心まで汚れてしまった…

もう神官としての地位はあなたにありません。」


スバルが下がると

ゆっくりとクリスが歩み出る

その腕の中には
ユキノが眠っていた


「皇女アマリエス
一連の誘拐事件と禁術の使用罪の
詮議を行う。

それまで身柄は
拘束させてもらおう。


どうして
こうなってしまったのか
私にはわかりません。

あなたがしてきた事を
私はきっと許せない…

それでも
ユキノに出会えた事には感謝します

義姉上…。」


クリスの合図で
スバルとジャンが挟むように
アマリエスを護送する


クリスは
腕の中で眠る雪乃に視線を落す


「そなたがこの世界を
私を選んでくれたのなら…。

もう
誰にも渡さない…。
どこにも行かせない。

ユキノ…。」


そして
そっとその唇を重ねた
< 310 / 319 >

この作品をシェア

pagetop