AZZURRO
「親を亡くして
弟たちを食わせていくためです。」


「その年齢なら
娼婦にでもなって男に買われた方が
割りがいいのでは?」

ジャンが平然と言い放った

「もちろん。
娼婦館にも行きました。

でも私みたいな汚れた女は
商品にならないって…追い返された。」


家族のために
17で自ら身売りするなんて…

雪乃には考えられなかった


いや
自分の環境がいかに恵まれていたのかを
思い知らずには居られなかった


日本でも
はたから見れば裕福な家庭に育って


まったく知らない異世界に来て

それでも
皇子に拾われて
姫扱いをされている


私だって
あのままのたれ死んでても
おかしくはなかった


やせ細って

それでも
兄弟のために斬首覚悟で
罪を犯した
ケシャを見ていると

裕福な生活にすら不満を抱いていた
自分が情けなく

憎らしくなった
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