AZZURRO
夕食中
クリスが口を開いた

「ユキノ、明日から長旅に出る。」

「え?」

雪乃の手がとまる

「長旅って?」

「アルヴェス帝国の首都:カイルに行くのだ。」

「カイル?」

首をかしげる雪乃に
ジャンが説明する

「アルヴェスの主要都市は
皇子や皇太子が納めています。

ですが
一年のうち三か月は休暇もかねて
首都にある本宮殿に帰るのです。」


「本宮殿?
ってことは、今いるここは?」


「ここはハジェンズを治めるための仮の宮。
皇族でもあり、第二皇子のクリス様には
首都の城塞の中にご自宅がございます。

私たち側近もみなクリス様に付いてまいりますので
ユキノ様もご同行ください。」


有無を言わせぬ視線と言葉に
雪乃はただただ頷いた


ただ
雪乃の中には不安があった


このままこの場所を離れれば

元の世界に帰る機会を失ってしまうんじゃないのかな?


…大丈夫なのかな?


そんな不安の色は

クリスの目に色濃く残った


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