AZZURRO
「やはり、我が家が一番だ。」

袖の部分が広がったひざ丈の長衣に着替えて
クリスは背筋を伸ばした


「はい。
やはり落ち着きますね。
使用人たちもまたクリス様に仕えることを
喜んでおります。」

ジャンがにこやかに言う

雪乃は
宮殿のあまりの素晴らしさに
落ち着かない様子で
辺りを見回していた


「ユキノ?どうした?
私の宮殿は気に入らないか?」


どこか面白そうに
クリスが雪乃を覗き込む

雪乃は
ハッとして顔をそらした

「そんなことないです。
ただ見た事ないくらい立派で…。」


「そうか。
ユキノの家はどんな家だ?」


クリスの質問に
雪乃の顔から表情が消えた

「…ただのマンションです。」


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