AZZURRO
獅子の子を「マリモ」と名付けた雪乃は
寝食を共にし
毎日世話に追われていた
小さいとはいえ獅子の子
その暴れん坊ぶりには
雪乃だけでは無く
ケシャやポール、ゴルチェも振り回されている
宮殿前の
噴水の淵に腰かけて
毬で遊ぶマリモを雪乃は楽しげに見つめていた
「ははは。マリモ、ウケル。」
派手に転んだマリモの姿に
雪乃は声をあげて笑った
思えば
こんな風に笑うのは久しぶりだった
彼と連絡が途絶えてからは
眠れない日が続いて…毎日泣いていたっけ…
ふと嫌な事を思い出し
顔を伏せる
こっちに来てから考える余裕がなかったのに
落ち着いた今は
何かあるたびに思い出してしまう…
悲しみと孤独に襲われそうになって
頭を振った