AZZURRO
夕闇に染まった空のした

満月の光に照らされて
羽ばたき中に浮かぶクリスの腕には
しっかりと雪乃が入った袋が抱えられていた


「私を見くびるな…。

お前達には
しっかりと黒幕の名前を吐いてもらうぞ?

ポール!ゴルチェ!!
連れて行け。」


「「は。」」


2人に連れられて男たちが去った後
クリスはゆっくりと
地上に降り立ち
雪乃を袋から解放した


うっ…
急に明るくなった視界に
飛び込んできたのは
光り輝く銀髪に憂いおおびた藍色の瞳…

クリス様…?


「大丈夫か?」

鼓膜に響くのは
優しいいつもの声…

クリスの声を聞いた瞬間に
全身の力が抜けるように
その場に崩れそうになった雪乃を

クリスがしっかりと抱きとめる


「守ってやれなくて
…すまなかった。」


「…いえ…。
私はどうなってもいいんです。

ただ…クリス様にご迷惑をかけてしまい…」



「ふざけるな!!!」


雪乃の声を割って
クリスの怒号が響いた



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