一番前が特等席。




「あの…小松さん!ちょっとお願いがあるの…」




卒業式の練習の後、知らない女の子に話しかけられた








隣のクラスの工藤凛<クドウリン>ちゃん






全く話したことなかったしびっくりしたけど








話を聞いてみるとなんで私なのか分かった








「三年生の佐藤先輩に…手紙を渡してほしいの。小松さん佐藤先輩と話してたから仲良いのかなって…」








始業式しか話してないからきっとその時のことだ






「ごめんね。私そんなに仲良くないっていうか…仲悪いんじゃなくて直接話さないっていうか…」






「え、じゃあ何で話してたの?」




話すと長くなりそうだったけど、誤解されちゃうと大変だからなるべく分かりやすくまとめて話した







「そうなんだ…じゃあ、メールでもいいの。私佐藤先輩のことずっと好きで…先輩卒業しちゃうから」







凛ちゃんは泣きそうな顔で話してくれた







入学式の日、登校してる先輩に会って初めて話したんだって








佐藤先輩は色々な話をしてくれて学校の良いところや学校生活を優しく教えてくれて…







その日からずっと佐藤先輩が好きなんだって








「私…入学式の日しか話したことないし、きっと先輩は覚えてないと思うの。でも気持ちは伝えたい」









真っ直ぐな気持ちがすごい伝わってきた








何となく私と似てる気がしてきて、応援したくなっちゃう







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