差別
4月初旬の頃
差別                            応橋次郎
 季節は春の4月初旬の頃、とある公立の小学校に主人公の秋月悠太が入学した。講堂での式典の後は、それぞれの教室に移動して担任の先生が話し始めた。
「皆さん、先生の名前は熊坂芳江といいます。」
「一緒にこの教室で楽しく勉強しましょう。」
先生は女の人で、20代後半か30代の年齢に思われる、教師らしく飾りっ気は無かったが、女性らしい雰囲気で入学したての一年生達に、やさしい言葉で子供達に語りかけてくれて、これからの小学校の生活を楽しく送れそうだった。
 しかし、熊坂先生は今の言葉とはまったたく違う、悪魔のような一面が隠されていた事は、その日には判らなかった。入学した初日では、何事も無く終った。

 翌日から実質な授業が始まる。悪魔のような出来事は、翌日の授業が終った時に始まった。
「今日の授業は、これで終わりですが、先生はもう少しお話をします」
 この言葉を聞いて、何人かが帰り支度を始めたら、熊坂先生の顔が突然変わってしまった。今までの優しい顔が、とても険しい顔になり、話し方も柔らかい言葉から冷たい口調に変わった。
「早く帰りたい人は、手を上げて!」
これを聞いて、教室にいる半数の子供達が手を上げた、まだ7歳になっていない子供に、「早く帰りたいか?」と聞けば、ほとんどの子供は早く帰りたいと思うのは当然である。
 この言葉で手を上げない子供は、帰りたくない理由がある筈だ。先生の話を聞かなければいけないと、家庭で厳しく躾けられている
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