差別
「君の机は、中廊下にあるよ!」
「昨日、君がいなくなったあと、熊坂先生が引っ張り出していた。」
 悠太はすぐに教室を飛び出した、中廊下のコンクリ-トの上に二つの机が出されている、ひとつは悠太の机で、もうひとつは「徐 美姫」の机と思われた。
 悠太は自分の机を急いで抱えようとしたが、まだ一年生の悠太にはなかなか思うようにならない、ちょうどそこに中岡校長先生が廊下を通りがかった。
「おや、どうしたの?この机は君のだったの?」
「どれ校長先生が手伝ってあげよう。」
「あっ校長先生、」
 中岡校長先生は、やさしい笑顔で悠太が抱えている机の端を持って、悠太と一緒に運んでくれた。10メ―トルほど行くと、突然熊坂先生が現われて悠太を叱り出したら、中岡校長先生が中に入ってくれた。
「なんですか、秋月君は校長先生に自分の机を持たせて!!」
「あ・・・・・」
「何を考えているの!!校長先生がご迷惑でしょ!」
 中岡校長先生は、持っている机を手から放して、熊坂先生に向かってこう言った。
「熊坂先生、あなたの教育とは、こう言う事だったんですか?」
「いえ、これは事情がありまして。・・・」
「今朝、徐 美姫の父親から電話がありました。あなたはなんて事をしているのですか!」
 中岡校長先生と熊坂先生の立ち話は、中廊下で始まってしまったので、悠太は自分ひとりで机を運んで行った。
 教室に入ると全員が机に付いていて、悠太は中央の列の一番後ろに自分の机を並べたら、女子の平岡さんが悠太の顔を見て言った。
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