*片翼の天使*
あたし達は、電車に乗り、3つ目の駅で降りた。
「どこに行くか、そろそろ教えてよ!」
王子は、気になって仕方ないようだ。
「あれ! 」
あたしは、楽しそうに指差した。
そこには、いかにもお伽話に出てきそうな、洋風の立派なお城があった。
白い外観で、シンデレラ城を思いおこすようなデザイン。
「なに……あれ?」
王子が首を傾げた。
「城! 」
「そりゃ見たら分かるって!
なんのお城? 」
「お菓子の城だ」
1回来てみたかったんだぁ~お菓子の城!
誰も一緒に来てくれる人いなかったんだもん。
「お菓子の城? 」
王子は、また首を傾げた。
「ああ!
世界中のお菓子が、たっくさん売ってるらしいんだ」
テンション上がるなぁ。
「へぇ~」
王子は、またお城を見る。
「誰も一緒に、行ってくれなかったんだ」
「なんで?」
「分かんないけど、トモカいわく、ナズナの甘いもの好きにはついていけない……だってさ~ひどくない?」
「……アハハ」
王子は、苦笑いしていた。