*片翼の天使*
「……友達だろ?
ナズちゃんが、そんなことしないってぐらい分かるだろ?
信じてやれよ……」
だって、友達なら当たり前だろ?
なんだか俺が悲しくなってきて、無意識のうちに怒鳴っていた。
その声が、静まり返っている放課後の教室に響いた。
「……ハルト様は、いつもナズナばっかりなんですね」
(ナズナに、ずっと嫉妬していた。ハルト様は、いつでも、ナズナが1番で、ナズナばかり信じているから……私がいくら頑張っても、私のほうを向いてはくれない。だから、今朝ナズナの援交の貼紙を見たとき、信じたというよりは、ざまあみろという気持ちになった)
モモカちゃんが、ぼそっと何かを呟いたが、俺には聞き取れなかった。
「えっ? 」
「……なんでもないありませんわ。
それでは。お先に! お疲れ様っ」
モモカちゃんは、そそくさと帰って行った。