*片翼の天使*
家に着くと……。
「ナズちゃんお帰りぃ~!
入学式どうだった?
お母さん、ほんとは行きたかったんだけど……お医者さんに止められちゃって。
今度の行事は、絶対行くからねぇ~! 」
母さんが、玄関で出迎えてくれる。
母さんは、娘のあたしが言うのもなんだが、可愛らしいくて童顔で、年齢不詳な人だ。
あたしの隣にいても、とても、母とは思えない。むしろ、姉妹のようだ。
「無理しなくて、大丈夫だよ」
病気なんだから。
「あらっ!
お母さんが、行きたいんだからいいのよぉ~」
母さんは、今日行けなかったことが、とてもショックだったらしい。
「うんっ! 」
「こんにちは!
おばさん!
お久しぶりです」
「あら、トモちゃん! 久しぶりじゃない!
ゆっくりしていってね」
「はい! お邪魔します」
「あらぁ?
今日、カリナちゃんは一緒じゃないのね? 」
あたしと、トモカの顔色が一変する。
「うん……じゃあ部屋行くから! 」
あたしは、少し困ったような顔をしていたかもしれない。
「お菓子と飲み物持ってくわね! 」
「ありがとう」