*片翼の天使*
「ハルト様は、ライバルが多くて困るわ。
頑張ってアピールしなくっちゃ! 」
モモカが、力説している。
「がんばれぇ~!」
「そういうアイリは、どうなのよ?
好きな人いるの? 」
なんで女って恋バナ好きなんだろうな……。
あたしは、携帯をいじりながら、ボーッと聞いていた。
「わ……私!? いるけど……」
アイリは、突然話しをふられ、驚いて、声が上擦った。
「誰それ? 」
モモカは、即聞き返す。
「誰にも言わない? 」
ふぁあ。ねみぃ。
「うん! 」
「隣のクラスの北条君」
アイリは、小さな声で、恥ずかしそうに言った。
なんだか、その仕草が可愛らしい。
「誰だ? それ? 」
あたしは、ユウナに聞いた。
「3組の北条大和君。
私たちと同じ中学だった人ですわ」
「へぇ~」
知らん奴だな。
「そうなんだぁ。
ねぇ、どこが好きなの? 」
「うーん。
中学の時に、バスでおばあちゃんに席譲ってて、誰にでも親切で、優しいとこかな。
モモカは、どうなのよ? 」
「私のはぁ、一目惚れよ。
そっかぁ。アイリ好きな人いたんだね。
知らなかったぁ。
お互い頑張ろうね!
私も協力もするし! 」
2人で盛り上がっている話を横で聞きながら、なんだかついていけない気がした。