*片翼の天使*
ウォーミングアップをしていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「ナズちゃん! 」
「あっ王子!
王子も今日試合か? 」
「うん。男子は、隣でやってる」
「そうか」
「ナズちゃん今日は、来てくれてありがと! 」
「……別に。お礼忘れるんじゃね~ぞ」
あたしは、念を押すように言った。
「分かってるよ!」
「まぁ……あれだな!
お互いがんばろ~ぜ!
負けんじゃね―ぞ!」
「おう! 」
「……あっ! ハルト君、こんなところに居た。キャプテン呼んでたよ 」
「ああ、カナコちゃん。分かった。今行く」
この子、確か男バスのマネージャーの……?
「あっ、ハルト様よぉ」
今度は、ファンの女の子達が、ドッと走ってきた。
「うわっ! 見つかった……カナコちゃん行こう。
じゃあね。また! 」
王子とカナコと呼ばれる女の子は、走っていった。
王子には、相変わらず、ファンの女の子が、たくさん付き纏っている。
「忙しい奴……」